システムエンジニアには文系出身でもなれる、というのは本当か?

当連載では未経験からシステムエンジニアを目指すために必要な業界知識やエンジニアのことを解説しています。これまでにもIT業界のことやエンジニアの仕事内容を解説しています。まとめのページは以下のリンクから確認してみてください。

さて、今回はシステムエンジニアになる前に最も悩むことNo.1と言っても過言でない点を解説していきます。それはズバリ「文系出身でもシステムエンジニアになれるのか」です。システムエンジニアといえば理系のイメージを持っている人が多いと思いますが、実際のところはどうなのかを解説します。

結論:文系でもエンジニアになれる

文系でもシステムエンジニアとして就職できるか、という悩みに対する回答としては「文系でもシステムエンジニアになれる!」と返したいと思います。なぜなら、筆者自身が文系学部を卒業してからシステムエンジニアとして就職し、プログラミングを覚えているからです。

システムエンジニアといえば理系のイメージを持つ人も多いですが、実際に業界を見回してみると理系の人はそれほど多くはなく、多くの人は文系からシステムエンジニアとしてキャリアを積んでいるのが現実です。ですので、文系だからといって躊躇することなくシステムエンジニアを目指してみてください。

文系がシステムエンジニアになれる理由

「文系でもシステムエンジニアになれる」と言われてもピンと来ない人や、「どんな根拠があって言っているのだろう?」と思う人のために文系でもシステムエンジニアになれる理由を解説します。

  • 意外とコミュニケーション能力が問われる
  • プログラミングは論理的思考力が重要
  • プログラミングは頑張り次第で身につく

筆者が考える主な理由は上記の3つにあると考えています。

1.コミュニケーション能力が問われる

システムエンジニアは理系なイメージなので、どちらかというと緻密・精工な感じがするかもしれません。小難しいことを延々と繰り返すんじゃないかな、と思っている人も多いかと思います。しかしながら、現実としてシステムエンジニアの仕事はそれだけではありません。

システムエンジニアに仕事については「」でも解説しているのですが、顧客との会話やチーム内でのやり取りなど、他社とのコミュニケーションの上で進行されることがほとんどです。ですので、単純に技術力で勝負するよりもコミュニケーション能力がある方が有利だったりします。

例えばお客さんに対して臆することなく質問を投げることができる、チームメイトに対して悩んでいることを聞ける、解決策を他人のために提示するといったアクションの方が重要だったりします。人との関わり合いについては文系の方が長けているため、文系でも十分に活躍することが可能です。

2.プログラミングは論理的思考力が重要

プログラミングは「技術」だと思っている人が多いかもしれませんが、これは正解でもあり間違いでもあります。そもそもプログラミングというのは、「パソコンに対して指示を出すための言語」になります。あくまでも「言語」という点が重要です。

要するに、プログラミングとは「やりたい仕事」を「言語化」して「パソコンに伝える」ために記述する「言語」なのです。あまり考える人は多くないのですが、プログラミングの背景には「ワークフローを言語化する能力」すなわち「論理的思考力」が必要になるのです。

例えば在庫管理システムでは「〇〇という商品があれば”在庫有”と表示して、在庫がなければ”入荷待ち”と表示する」というように、様々な状況に応じた処理を言語化しておき、それらを「どのように組み合わせるか」が重要になるのです。もちろん技術的な部分は必要ですが、これは後で解説します。

物事を整理して順序良く再配置する「論理的思考力」は、文系でも理系でも関係なく身につくものです。もちろん適性・不適性があるため、「物事を深く考えるのは苦手」という人には難しいと思いますが、「考えることが好き」や「考えを整理することが好き」という人であれば文系でも問題ありません。

3.プログラミングは頑張り次第で身につく

プログラミングはあくまでも「技術」にしか過ぎません。筆者は「論理的思考力」の次にくる要素だと思っています。プログラミングの技術は、考えたことを表現する手段にしか過ぎないという意味です。したがって「頑張れば身に着く」と思っています。

実際、筆者自身が未経験からエンジニアになってプログラミングを覚えたわけですし、多くの人が例外ではありません。プログラミングは「手段」でしかないのです。もちろん天才的なプログラマーにはかないませんが、商業的にエンジニアとして稼ぐレベルであれば、数年ほどしっかりと頑張れば到達は可能です。

先ほども紹介していますが、プログラミングスキルよりも重要なのが「論理的思考力」ですので、このスキルがある上での話になります。中にはプログラミングだけ覚えて「考えることが苦手」な人もいますが、そういう人は伸び悩んでいる印象があります。理想は「考えることが得意」で「プログラミングも好き」という人の成長率は物凄く高いですね。

文系出身でもエンジニアになれる。問題はその先。

以上、文系出身でもシステムエンジニアになれる理由を解説してきました。これまでに解説してきたように、文系出身でも十分にエンジニアとして活躍することは可能ですし、実際に活躍している人もたくさんいます。ですので「文系出身でもエンジニアになれる」と思っています。

ただし、難しいのは「文系出身で活躍できるエンジニアになる」という点かなと思っています。文系出身でコミュニケーション能力が長けている人であっても、その根幹を支える「考える力」のない人は、口ばっかりな人としてエンジニアとしての信頼性に欠けます。

また、エンジニアとしてプログラミングスキルもないと、やはりプログラマーからの信頼も得ることはできません。それにプログラミングは学べば身につくので「学習意欲がない」とも捉えられてしまいます。文系出身でもエンジニアになることは可能です。ただし、本当にエンジニアとして活躍し、周囲から信頼され重宝されるエンジニアになれるかどうかは別問題だと考えています。