AIプログラミングとは?おすすめの学習方法や活用事例など解説

近年のAIブームを受け、AIプログラミングが注目されています。AIプログラミングにはプログラミング言語のほかに、コンピューターや数学に関する知識も必要です。

AIプログラミングに使用される主なプログラミング言語には「Python」「R」「C++」「Julia」があり、学習の際には自分に合った言語を選ぶことが重要です。

この記事ではAIプログラミングに必要なスキルやプログラミング言語、プログラミングを選択するうえでのポイントについて解説します。もしAIプログラミングを学んでみたいと思ったときには、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

AIプログラミングに必要な知識

AIプログラミングに必要とされる主な知識を紹介します。

  • 数学
  • コンピューターの知識
  • プログラミング言語
  • 機械学習の知識
  • データ分析

この中で必須ともいえるのが「数学」「コンピューターの知識」「プログラミング言語」「機械学習の知識」です。「データ分析」はAIにデータ分析させる際には必要ですが、AIプログラミングに必須ではありません。

なお、AIについては「AIとはいったい何?AIの歴史や現在の活用法について詳しく解説」の記事で紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

AIプログラミングの学習ステップ

AIプログラミングを学習する際には適切なステップを踏むことで効率的な学習を進められます。AIプログラミングの学習ステップは以下の4ステップです。

  1. コンピューターの基礎を学ぶ
  2. 数学を学ぶ
  3. プログラミング言語を学ぶ
  4. 機械学習を学ぶ

それぞれのステップについて解説します。

ステップ1. コンピューターの基礎を学ぶ

はじめに高校の履修科目の情報Ⅰ、情報Ⅱの内容をひととおり理解しましょう。情報Ⅰ、情報Ⅱで学ぶ内容は情報処理推進機構(IPA)の提供する、基本情報技術者試験とほぼ同程度です。すでに社会人として働いている場合は、このレベルをめどに学習を進めてください。

ただし、理解できなくても次のステップに進めます。たとえその場でわからなくても、先のステップに進むことで理解できる領域もあります。そのため、無理にすべてを理解せずに自分がわかる範囲で学習しましょう。

なお、高校で学習する情報Ⅰ、情報Ⅱについてはこちらの記事で紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

基本情報技術者試験の受験要項についてはこちらの公式サイトをご参照ください。

ステップ2. 数学を学ぶ

次に数学を学びます。ただし、先に数学を学んでからコンピューターについて学んでもよく、あるいは同時並行で学習を進めても構いません。

数学というと非常に難しいように思えます。中には数学を苦手としている人がいるかもしれません。しかし、数学に苦手意識を持っていたとしても、四則演算を理解できていれば基本的なことはわかります。加えて、比較演算子(以下の1・2)の理解があれば十分です。

  1. 四則演算:(+、-、×、÷)の4演算子
  2. 比較演算子:等しい(=)。大なり(>)、小なり(<)の演算子

上記の演算に加え、アルゴリズム、座標、時間計算といった領域を必要とするケースもありますが、必要なケースは対象のシステムによります。いずれにしても、高度な数学知識を持たなくともAIプログラミングは可能です。

ただし、AIを使用してデータを分析する場合は、確率統計、微分積分、線形代数、標準偏差、分布といったデータに関係する数学を修得する必要があります。

ステップ3. プログラミング言語を学ぶ

コンピューターと数学を学んだところでプログラミング言語について学びます。

プログラミング言語を学ぶ際には、ハンズオンで基礎を学ぶとよいでしょう。プログラミングを学習する際には、座学で知識を吸収するよりも、ハンズオンで手を動かす方が効果的です。ハンズオンで学習を進める方法は以下のとおりです。

  • オンライン教材
  • ハンズオン付書籍
  • プログラミングスクール

オンライン教材やハンズオン付書籍はいつでも自由に学習できる反面、理解できないと挫折しやすい一面もあります。独学で学習するより、短期間に集中して取り組めるプログラミングスクールを利用した方がよいでしょう。

ステップ4. 機械学習を学ぶ

プログラミング言語を学んだのちに、機械学習について学びます。

機械学習を学ぶことはAIを深く知ることにつながる重要なステップです。たとえプログラミング言語を学んだとしても、AIを理解していなければプログラミングはできません。機械学習を学ぶうえで意識するポイントは以下のとおりです。

  • 機械学習の仕組み
  • 機械学習の手法
  • 深層学習との違い

AIは従来のプログラミングとは違い、学習結果やルールにもとづきプログラムの品質を自動で評価のうえ、さらに最適化します。これは従来のプログラミングと大きく異なる点です。そのため、AIプログラミング独自の仕組みを理解することが非常に重要です。

AIプログラミングに適した言語

ここで、AIプログラミングに適した言語をいくつかご紹介します。AIプログラミングに適した主な言語は「Python」「R」「C++」「Julia」の4言語です。それぞれの言語の特徴を解説します。

Python

AIプログラミングでよく使われる言語のひとつはPythonです。Pythonはプログラミング言語の中でも人気のある言語で、近年Pythonで開発されるシステムが増えています。学術計算用ライブラリが豊富に用意されているため、AIを活用したシステム開発をしやすい点がメリットです。Pythonには以下の特徴があります。

  • ソースコードがシンプルで簡単
  • インタープリタ型でコンパイルが不要
  • ライブラリのほかフレームワークも豊富

このように、比較的難易度が低く扱いやすい点がPythonの大きなメリットです。そのため、現在、数多くのシステムで採用されています。

R言語

R言語は1990年代に開発が進められた言語で、データ分析や統計解析に強みを持ちます。R言語が注目されるようになったのはAIの広がりによるところが大きく、時代を先取りしたプログラミング言語です。学術計算用ライブラリが充実しており、AIプログラミング言語として広く活用されています。R言語の特徴は以下のとおりです。

  • データ分析に特化した言語
  • バイナリデータからの分析も可能
  • 解析に必要な関数やパッケージが豊富

統計分析のほか、ヒストグラム、散布図、テキストマイニング、ベイズ統計のようなデータ解析処理に適しています。しかし、PythonやC++のような汎用性に劣る点は注意が必要です。

C++

C++はMicrosoft社が開発したプログラム言語です。C言語をもとにオブジェクト指向を取り入れているものの、C言語とは異なります。プログラムをコンパイルしてから実行するため高速処理に適しており、AIのような処理性能を求められるプログラムに向いている言語です。C++の特徴として以下の点が挙げられます。

  • C言語を拡張したオブジェクト指向言語
  • メモリといったハードウェア管理が不要
  • 関数や演算子のオーバーロードが可能

C++は高速処理できる一方、ソースコードの構造が人間にとって理解しにくく、なおかつ複雑である点がデメリットです。

Julia

Juliaはマサチューセッツ工科大学の研究から生まれた、高性能演算が可能なプログラミング言語です。シンプルなコードで記述できるため理解しやすい特徴があります。Juliaは統計処理、機械学習、科学技術に関する高度な計算処理に強みを発揮します。Juliaの主な特徴は以下のとおりです。

  • コンパイル言語のため高速実行が可能
  • 無料で使用できるオープンソース言語
  • PythonやC++との外部連携可能

Juliaの構文はPythonに似ているため、すでにPythonを学習しているのであれば容易に理解できる点もメリットです。

そのほかにもAI用ライブラリが揃っているJavaScript、アプリケーション向けのHaskell、深層学習向けのMetlibなど、さまざまなプログラミング言語があります。興味のあるものを調べてみるとよいでしょう。

AIプログラミング言語の選択ポイント

今回紹介したプログラム言語の中で、どの言語を学習したらよいのか選択するポイントがあります。主なポイントは以下のとおりです。

  • 理解のしやすさ
  • 学習教材の豊富さ
  • 言語の人気度

それぞれのポイントについて解説します。

理解のしやすさ

プログラム言語を選択するうえで、その言語が理解しやすいかどうかは重要なポイントのひとつです。理解が難しいプログラミング言語を選択しても習得に時間がかかります。理解できずにモチベーションも落ちてしまうでしょう。理解しやすいかどうか判断するポイントは以下のとおりです。

  • プログラミング言語の概念
  • プログラミング言語の難易度
  • ソースコードの理解のしやすさ

プログラミング言語の概念は、たとえばオブジェクト指向といった、プログラミング言語に対するフレームワークや考え方を意味します。学習を始める前に各プログラミング言語のソースコードや概念を調べて、自分にとって理解しやすいか確認しましょう。

学習教材の豊富さ

AIプログラミングを始める際には、学習教材や技術書、ホワイトペーパーがどれだけ充実しているかも重要です。

仮に学習教材が少なければ、わからないことがあったときに調べられないためです。わからないことをそのままにしておけば理解が進まず、挫折にもつながります。

先ほど「AIプログラミングを学ぶステップ」のステップ3でご紹介したとおり、ハンズオンで学べる書籍やオンライン教材のあるプログラミング言語をおすすめします。PythonやC++の教材は数多く提供されていますので、確認してみるとよいでしょう。

言語の汎用性

プログラミング言語を学ぶ際には言語の汎用性も考慮しましょう。

本来は自分の理解にあった学習しやすいプログラミング言語を選ぶべきです。しかし、仮にAIプログラミングを仕事にする場合、求人数がなければ収入面で不安があります。AIプログラミングに携わる際には、PythonやC++のように汎用性のあるプログラミング言語を選択した方が賢明です。

一方、R言語やJuliaは特殊なプログラミング言語のため、一般的なシステムで使用されていることはほとんどありません。そのためR言語やJuliaを学ぶ場合は、職種が絞られてしまう点には注意が必要です。どのようなキャリアパスを描けるのか、自分で調べて整理するとよいでしょう。

まとめ

今回はAIプログラミングの学習ステップと、AIプログラミングで活用されているプログラミング言語について解説しました。

AIプログラミングの学習ステップは4ステップあります。今回ご紹介したステップを踏めば、効率よくAIプログラミングを学べることでしょう。

AIプログラムに向いているプログラム言語は4言語あります。その中でもPythonとC++は汎用性が高く、プログラマー、開発エンジニアを目指すのであれば、どちらかを選択するとよいでしょう。

AIを取り巻く環境は日々変化しています。AIプログラミングを早くから学ぶことで、将来さまざまな場面で活躍できます。